日々のこと☆2003☆


2003/1月/遊具

ジャングルジムのてっぺんで、赤い笑顔の子ども達、
散歩のついでにウンティにぶら下がるおじさん、
幼い子を膝に抱えてすべり台をすべるお父さん、
ポツンとブランコに腰掛けて少し泣いてるお姉さん。
コンクリの基礎で支えられた無機質な固まりなのに、
ヒトと遊具の関係は奥が深い。

以前、市立小学校にアスレチック遊具を設置したことがある。
折り紙やクレヨンを扱うメーカーの既製の登り台は偽木で出来ていて、設計図通りに組み立てた。
タイヤにぶら下がって降下するターザンごっこは、試行錯誤で勾配を決めたりした。
ある別荘の庭で、クヌギの枝に手製のブランコを付けた事もあった。
「ヨーレイホーッ」と言いながらユラユラ乗りたくなる、素敵なブランコだった。
遊具の設置は楽しい工事。

でも、形あるものは変わる。

某保養所の一角の本格的なアスレチック遊具。
老朽し危険な状態なので取り壊すことになった。
遊具の解体はあまり楽しくない工事。
20年間、ヒトとの出来事がたくさんあったろな。
年に何回か管理に来ているから、度々楽しませてもらったなあ。
最後にいつもと違う位置から登ってみる。
今日でお別れかと思うと、てっぺんの秘密の小屋から眺める景色もチト悲しい。

鉄を酸素で切る。3300度の炎が柱や板に燃え移り、消火作業が忙しい。
合成樹脂が溶けた嫌な匂い。
切り離された階段やつり橋は魂が抜けて産廃になる。
ただの重くて硬い塊。
ユンボで柱を倒す。基礎が意外に大きい。ドリルでもむ。
すべてがバラバラになり、どのパーツもすでに何の役目ももらえない。
4t車に隙間なく詰め込み、処理業者まで運んだ。

整地が終わり、広さだけが残った更地。
何かが始まるかもしれない。
何も始まらないかもしれない。
終わりの先には始まりのドアが並んでいる。