てすり
毎年2月になるとあちこちの植木屋の屋根にやってくる渡り鳥。
片方の羽を顔の横で折り曲げて、まねき猫の真似が得意げ。
小さな口を尖らせて「カンコカンコ」と鳴く。
「こーゆー日々を『ゆとり』っつーのっ!しっしっ」
と、追い払うと、アカンベーをしてバサバサ飛んで行った。
・・・って感じかな。
そうそう暢気にはしていられないが、
1年のうち最も「ゆとり」を感じながらボチボチと過ごすのが2月なのだ。
ところで、
最近、段差のないフラットな床や要所に手摺をつけた、バリアフリーの建築が増えてきた。
ワタシも今は元気に、ピョンスカ飛び回ってはいるけど、
数センチの段差が辛くなる時がいつかやって来るのだ。(このまま生きていれば・・。)
思えば、庭は屋内よりも辛い箇所が多い。
せめて好きな花木の近くまで行ける園路くらいは、平らで滑らない工夫が必要だ。
各要所には手摺も必要だ。
居室とデッキも平らが良いだろうし、デッキからは緩やかなスロープで降りたいだろう。
とくにこの近辺は高低差のある敷地に建つ家が多いから、
歩きやすい園路と手摺は、課題だな。
折りしも、
去年から何件か、玄関までの通路に手摺をつけることがあったが、
このゆとりの2月、既存の石段への手摺設置で、初めてアルミの既製品を使用した。
このジョイントが優れもので、どんな角度でも上下左右、自由に作れるのだ。
支柱も手摺を支える角度が自由に作れる。
ゆとりの成果でおだやかな精神状態を保つ3人組は、
チームワークも完璧で、作業は笑顔のスムーズ進行。
きっと時間に追われ焦りバクハツの時なら、
自由自在にカクカク曲がるジョイントに、振りまわされただろうな。
普段は無口でも、この時ばかりは声を掛け合う。
職人に必要な会話は「掛け声」だ。
いいか、はい、よし、ほい、それ、と、順調に設置完了。
石段の踏み面は、石の感じが良いのだが、ゴツゴツして歩きにくい、とのことで、
蹴上げ部分はそのままに、石を隠すようにモルタルで平らに塗る。
ノンスリップタイルを貼りたかったが、限られた予算内での苦肉の選択。
親方は仕上げにかかり、トミは犬と戯れ、私は汚れたミキサー、フネ、コテなどを洗う。
冷たい水とモルタルが手にキビしいチャーミーグリーン♪
ミキサーって餅つき機に似ている・・。
ゴシゴシ手を動かしながら、ゆとりもほどほどに、だな、と思うのだった。
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