修行日記/2006.1.8


/スタートです/

2005年、いろんな事がありすぎた一年だった。

ありすぎるのは、なさすぎると同じ位、心と体に良くない。

ありすぎたそれらのほとんどは、人目に晒してはいけない事だ。
だから、年明け間近の夜更け、
山積みになったそれらを抱えて、
地下室への暗い階段をソロリソロリと降りた。
そして、裸電球に目照らされた赤茶色の扉を開け、
ひやっとした一室の一番手前の棚へ、置いた。
いつでもすぐに取り出せるように、インデックスを少しずつずらして、
でも、崩れて落ちないように、慎重に積んだ。

扉の前には、鋭い歯を持つ頭の大きな犬と、小ぶりの噛みつき亀を繋いでおいた。
ハルポタかっ。

地下室に運ばなかったその他の事は、机の上に積んでおいた。
少し憂鬱な匂いがするが、たいした毒はない。
心がウキウキ踊った事は、金のフレームに入れて壁に掛けた。
眺めてみては、ニンマリとする。

と、まあ、そんな心の整理を大晦日に済ませ、平らな心になって新年を迎えたのだ。
そして、とりあえず新年のヒトトキを平和にすごした。

あらためて机の上に積んでいた事を覗いてみると・・・。
たいした話もないのだが・・。

以前の造園業者の仕事が怠慢で金額が高い、という理由で、
うちらが某マンションの庭園管理に携わって2年目だが、
初年度、入ってみたらなるほど、手抜きの部分が多く、それらの植木の仕立てに大変だった。
乱れた樹形を整え、傾いた木があれば起こし、支柱をし、
植え込みの中に溜まった、腐葉土化しそうな落ち葉まで掻き出し、
契約以外のサービス的な部分も細かくチェックし、
出来る事のすべてをした。
作業の途中には「ごくろうさま」「綺麗になったねえ」と声をかけられた。
そして昨夏、理事が総入れ替えになり、理事長も代わった。
ある日、新理事達に呼び出された時は、
お褒めの言葉をいただけるものと、自信を持って出向いた。

しかし、
「秋の剪定にサツキを刈っては花が咲かない」に始まり、
細々としたクレームを挟み、
「もっともっともっと、安くできないか」で終わった。
「花後に刈り込みをしているので花芽の分化は充分にできていますが、
成長が止まった頃、徒長枝を切ることで花の位置が揃い綺麗に咲きますので。」
で始まった答弁は時に歯をくいしばり、時に鼻をふくらませ、うなだれ、
「ある程度の減額はできます。」で終わった。
その後、「まあ、あまり良くは見てないけど、誰がやってもたいした差はないんじゃない?」
と、言われた。
いつも作業を見て、声をかけて下さった方々は、理事になっていなかった。

賞賛の言葉が欲しくて仕事をしているのではないが、
理不尽なクレームと足元を見るような値引交渉には、参る・・・。
親方と出した結論は、
「£×△゛¨W#ヾ℃∽・・・・」だった。

今年は改めて見積もり合わせになるだう。
「是非、やらせてください!」という気が、湧いてこないのはなぜだろう。

しかし、今年の冬は厳しい。
資材置き場も雪景色になり、数日経っても溶けない。
暮れの仕事で出た枝ゴミや、土や砕石の山が白く並んでいる。
倉庫の片付けも、何も出来ないままの年越しだった。
まずはスッキリ綺麗にして、今年をスタートしよう。

今年もいろいろありそうだ。
ワクワクドキドキハラハラ、面白い一年にしよう。