修行日記/2006.8


8.31/痛さで終わる8月なのだ

夏の手入れ仕事と並行して、庭造りが1件進行中なので、かなりハードな7、8月だった。
たった3人のチームだから、少し忙しいと、パニックになる。
でも、人を雇用するつもりはなく、この体制は続けていくつもりだ。
こんな時は、気長に待っていてくださるお客様の存在はとても有難いのだ。
待っていただいただけでも、申し訳ないというのに、
お土産をいただいたり、美味しいお茶をいただいたり、
はたまた、セナの墓前にとお花をいただいたり・・
と、優しいお客様に感謝する日々。
「アリガタイねえ」と、シミジミ頷き合う3人チーム。
だから、たまーーにトゲのある仕事をすると、愚痴が出ちゃうのかもね。
もっと打たれて精神を鍛えなくてはね。
まだまだ甘い、甘い・・。

そして、トゲではなく、石に四苦八苦しているのは、完成間近の庭。
大室山の麓の別荘地で火山で噴出した石が作った地面なので、掘れば石、掘れば石・・。
分譲地の開発で埋め土をした所を除いては、ほとんど同じ。
分かっていても、石にはウンザリする。
スコップがガツンと当たる感触はとても、疲れる。
当然、ユンボ無しでは進まない。
力持ちのユンボ君には、いつも惚れ惚れするのだ。
ワイヤーで吊った重〜い石を軽々と移動する姿は、理想のタイプ。
そして石を積むのは、やはり親方のスピードと上手さが光る。
こちらはすでに理想のタイプでもなく、惚れ惚れともしないが・・・

今日は背中に暑い陽を感じながらも、頬っぺたを撫でる風は完璧な秋の匂いだった。
ふわー、良かったなあ、夏も終わりだわい、と気を抜いたら、
スコップの剣先が内くるぶしに命中した。
しばし、蹲り、唸る。
見事に腫れた。
固い石を相手にしていたせいで、力が入り過ぎてたみたい。
石積みの目地を入れれば、「土方目地じゃん」「植木屋は細目地でしょっ」と2人のハーモニー。
少し、凹む。
でも、石だらけの地面が少しずつ庭としての形に変わっていくのが、面白い。
一輪車を押しながらの鼻歌は、なぜか「なだそうそう」だった。


石だらけの地面がどう変わるのか・・・


8.17/同窓会

お盆休み初日、高校2年の時の同窓会があった。

それまで何度か会っている人もいたが、35年の月日を挟んで再会する人もいた。
メガネがトレードマークだったSは、誰だか分からなかったけど、
優しかった事を思い出し、ジイーーンときた。
少し不良っぽかったMは高校の先生になっていた。
時々顔を見かけたTも、話をするのは久しぶりだった。
可愛かったAはまだ独身で、喋り方がちっとも変わっていない。
柔道部だったKはカラオケで友近なみの芸を披露して爆笑だった。
みんなそれぞれ少し変わった。少し。

「今」の開催で本当に良かった。
この35年の間には、「誰にも会いたくない」なんて、
カラに閉じこもっていた時期もあったかもしれない。
そんな時だったら、きっと「行きたくない」と思ったに違いない。
「欠席」に○印をするのも嫌で、返信のハガキも出さなかったかもしれない。
でも「今」は心穏やかに、半分は開き直って、誰とでも会いたい気分だ。

そして、消したい1年間があるとすれば、あの高校2年の時だ。
何から逃げたかったのか、あの頃の胸の内をPに話せて、良かった。
もう、35年も過ぎてしまえば、ただの青い思い出だ。

地下足袋履いて、植木屋やってまーす。

Pよ、共に理系に進むと誓ったのに、ごめんね、でも、なかなか面白い人生になったよ。