日々のこと


11月?日/チェーンソーとヘルペス

ある大手広告会社の健保保養所の斜面に聳え立つサクラ、クヌギ、シイなどを、
幹高1,5Mを目安に強剪定することになった。
下が道路なので、枯れ木や風で折れた木が落ちると、道行く車や人が危険なのだ。
もちろん、作業も危険だ。

昔はチェーンソーなんてものはなかったから、手引きの鋸で切ったんだぞ。
初めてチェーンソーを買った時は、こんなに切れるのか、と驚いたさ。
安全ベルトなんてないから、ロープに何個所かコブを作って、ちょうど良い位置で縛ってよ。
さあ、切るぞお。の時は一旦全員が散って、誰が登るか様子を伺って空を眺めてさ・・。
いっぷくの時には親方のいろんな昔話がでてくる。
チェーンソーの具合が良くなくて、ボヤくトミは、何も言えなくなる。

梯子をかけて登るは、親方。
下の道路からだと何Mくらいあるんだろ。
レッカーの運転手にワイヤーの位置を確認する。
ワイヤーをかけ、切る位置まで降りる。
暫くの間チェーンソーの音がつづく。
少し動いたところで微妙に吊り具合をかえる。
メキッ!という音のすぐ後で、切り離された幹の先端が、
ワイヤーに吊られて、親方の顔にむかった。
うっ。全員、声が出ない。
かわした。ほっ。

青く高い空に木が舞う。きれいだ。
でも、もう、土から水を吸うことはできない。

地面に降ろされ、静かに横たわった木をバラして行く。
1tほどの固まりが少しずつ小さくなる。

何度か同じ作業を繰り返し、
すべてが終わると斜面に陽が当たり、
彫刻が並んだような芸術的な景色になった。
でも、少し、マヌケ。

胸と背中を何かの虫に刺されたトミは、
翌日から筋肉痛も加わってか、痛がっていた。
どんな毒虫だったのかねぇ、ナタの使い方が悪くて筋肉痛になったのかねぇ。
数日我慢していたが、皮膚科へ行く。
「ヘルペス」だった。とほ。
常に体中が痒かったり痛かったりするから、まさか、まさかのまさかっちゃん。

思えば、たいしたケガもせず、無事に仕事を終えるのは、
とてもラッキーな事なのだなぁ。


↓前 ↓後
↓前 ↓後
狭いところへレッカーが入る。 ワイヤーロープをかける。 何回か分けて切る。
秋空にサクラが舞う。 重さはそれぞれ1tまでに。