日々のこと/11月


建仁寺垣それぞれ

別荘A邸。
7年前に露天風呂の目隠しに据えた建仁寺垣が、大分痛んできた。
日陰で湿気も多いので、塩ビかアルミのモノをお勧めしたが、
結局、青竹で作り直すことになった。喜ぶわれら職人ズ。

建仁寺垣の立子の竹は、今は資材やさんで一間分が束になって売っている。
ほぼ真っ直ぐに揃っているから、幅の狂いが少なくて、助かる。
山へ入って、切り出して、磨いて、割って・・・を思うと、何とラクなことか。
丸太もスンッとしたのがホームセンターで手に入る。
作業場でクレオソートを塗れば、即、使える。
押さえと笠の竹は、某資材やさんで買ったけど、
アッチムイテホイやニイッコやムシクイが多くて、
半分しか使えなかった。
ワンスパーンが長いからちょいと困った。

日陰の狭い所でブルブルしながら、モクモクと丸太を打ち、胴縁を据え、立子を並べていく。
6mほどの押さえ竹を木々の間から入れ込み幅に合わせて切る。
竹引き鋸の細かい目が良い音を奏でる。

縄を通したり結んだりするのは、編み物や縫い物に似ているから、好きだ。
よじれたシュロ縄を直すのも毛糸や刺繍糸のそれに良く似ている。
久しぶりに使った道具。くり針。不思議な形で不思議に便利。
ギッチと立てた竹の隙間に短く割った竹を刺し込んで隙間を広げ、
そこへシュロ縄を通したくり針を入れると、裏から縄が帰ってくる。
竹と縄が摩擦しあう音を聞きながら、結ぶ。

切り落とした竹の廃材を拾い集めて袋に入れる。
カラカラコロコロ。

すべてが心地よい音。

既存竹垣↓ 新設↓  L18m(10間)
隙間の光が綺麗

所変わって、こちらは塩ビとアルミの建仁寺垣。
風呂場の窓を隠し、出入り用にドアを取り付けた。
地中の配管が多いので、基礎はベースプレートとボルトを使用。
建物の感じから装飾のシュロ縄はつけないことに。
耐久性は青竹よりずっと良い。
寸法出しもピッタリで気持ちよくスペースに収まったから、
ドリルも切断機も、雑音を立てた甲斐があった。
これはこれで、機械音は、なぜか、好きなのだ。