12月の無題
気がつかないフリをしようとしたが、12月は始まっている。
今年は終わろうとしている。
月毎に、¥マークが右から左へ動くさまを至近距離で眺めていた。
左の、ずっと、はるか彼方の左まで、大きく手を振り、見送ったっけ。
見送ることができただけでも、シアワセだったな。
気がつけば、かーちゃんが買ったモノといえば、
カインズホームセンターの¥398のヤッケだけだった。(少しだけ、嘘つき)
とにもかくにも、忙しく過ごさせていただいたコトに感謝だ。
あれこれと思い悩む暇がないというのは、トテモ幸せなのだ。
枝が邪魔だからと、サクラを切った。
落ち葉が迷惑だと、イチョウを伐採した。
甘い柿が食べたいと、接木をした。
庭が狭いからと、キャラを動かした。
来年庭で花見がしたいと、サクラを植えた。
斜面が崩れるからと、ネットを張った。
不変なものなど、何もない。
深い奥のシンの点だけ、変わらないでいたいと願う。
別荘の庭はオモチャのチャチャチャと似ているのだ。
ヒトのいない空間で、それぞれが思いのままに踊っているに違いない。
庭師というヒトがそっと入ると、だるまさんがころんだ、と、動きを止める。
止まり損ねた葉っぱがハラハラと落ちる。
すっかり庭の主役となったモミジの赤が、あたりを染めていた。
誰がこの色を造ったんだ・・。
地を埋めるタマリュウも、低く揃ったサツキの群れも、苔で着飾った灯篭も、
全てがこの色に完敗だ。
来年はもっと性能の良いデジカメを買い、この赤に失礼のない写真を撮らなくちゃ。