2月?日/公共工事です
久しぶりに市の発注工事をすることになった。
わが町伊東はいろんな事情で財政難が続き、
県内では初めて、市職員の給与を3%カットすることになったばかり。
今の自営業者にとっては、3%くらい、へのかっぱでも、
公務員の給与の3%カットは、
スッタモンダスットコドッコイ、大変な事らしい。
これまでも、無駄な工事なんてあった筈はないけれど、
厳しい財政で少ない予算の中、工事の発注はぐっと少なくなっている。
そんな状況での受注なので、
有難さが喉のあたりで5〜6回バウンドしてから、
胸の中へじわわんと沁みた。
私は今のところ、残念ながら、自分を主張するデザイナーではなく、
公共工事を嫌う理由もないし、
頂いた図面に忠実な仕事をする事に、誇りすら持っている。(つもり)
ただ単純にがんばるのみ。
うっし、気合。
しかし、着工届から始まる提出書類に少し、モタつく。
新しいPCにして、一太郎からワードに変えたし、
前のデータで救出するのを忘れていたものもあったし、
ま、ともかく最初からやればいいのだと、
気持ちを切り替え、やる気ランランでキーボードを叩いた。
「施工計画書」が一番タイヘン。
でも、でけたっ。提出。
即、訂正の連絡。ショボン、ポリポリ。
そして、即、訂正し、再び提出。テキパキ。
工事はハイキングコースの歩道の整備が主な内容。
また、筋肉か・・・。ムッキン。
幅1M長さ200Mの歩道を掘削し土取りし、
砕石をいれ転圧し、土系舗装材で仕上げる。
商品名「スタボン」(25s)を426袋、使う。
おまけは、道標の設置と、ヤブツバキの植栽。
工事看板を立て、いよいよ着工となった。
社名の入った看板を堂々と立てられる。
これは、宣伝活動もしてくれるから、嬉しい。
早速、道行く人が「ほおー、始まるのか」と、看板を眺めていく。
ひととおり、着手前の写真を撮る。
今回は範囲が広いので各所撮り終わると、
海岸を回っての気持ちの良いハイキングコースを1.2km歩く。
ミニユンボの力も借りたけど、
スコップ、鋤簾、1輪車、筋肉のセットが大活躍。
冬型の空に戻って、小雪もちらつく中、
汗を流して体脂肪を減らす。
合間に写真も撮る。
水平器を当て水糸をはり、マークをつける。
管理も施工も同じ顔ぶれだから、
情報伝達にズレがある筈がないのだ。便利。
一週間で転圧まで終わり、不陸整正工が完了した。
来週からいよいよ、舗装開始。
つづく・・。
土を掘ると、必ず鳥がやってくる。
今回は、おしゃれなブルーの「イソヒヨドリ」が毎日来た。
手摺の上にチョコンと乗っているけど、
写真嫌いらしく、どうしてもアップで撮らせてくれなかった。
プレートでガンガン始めた頃には、もう現われなくなった。
来なくなると、寂しいんだな、なぜか。
いよいよ舗装工開始。
この舗装材、雨に濡れると使えなくなるので、
出番ギリギリに荷が着くように発注する。
現場にはスペースがないので、ひとまず秘密基地に搬入。
1パレットが50袋、1.25tの重さだ。
合計約8パレットが到着した。
フォークリフトをヤフーオークションで買っておくべきだった。うっそ。
あれば作業は滑らかだったろうが、ユンボの力で吊り、並べる。
パレットの板がベリベリ割れる音が響く。
ここで役所の監督員による「材料検収」が入る。
この舗装材、真砂土に透水剤、固化剤を混ぜたもので、
各メーカーから様々な製品が出ているらしいが、
ここでは、「スタボン」という製品を使用。
名前が「バカボン」に似ている。
でも、フランス語だとさ。(「ガンコ」という意味だって)
どのメーカーのものも成分や施工方法、価格には大差ないと思う。
施工箇所を整地後、乾いた状態で敷き均し、散水して固める。
施工が簡単、というのもウリのひとつ。
だけど、25キロのモノを運ぶのだぞ・・・。
そして、きな粉のように粒子が細かいため、
均した後、落ち葉がカラカラ転がっても模様になってしまう。
膝をついて、後ろに下がりながら均していくのだけど、
自分がきな粉餅になった気分。
そして、散水、散水、散水、散水。ひたすら散水。
初期散水、二次、三次、と、何度もかける。
1u当たり、18リットルかけるのが基準。
ここは、川沿いの道なので、
川からポンプでくみ上げた水をタンクに貯め、動力でホースを使う。
乾いて固まるまで一週間ほど養生する。
施工2日目、80M進み、
バリケードで「絶対に入るなよ」と囲み、現場をあとにした。
次の日の朝、気合の入った足取りで現場に入ると、
なななななーんと、人とイヌの足跡が80Mきっちり、ついていたのだ!
途中何箇所かイヌが踊ったらしい。ぐるぐると。
わしゃ、気絶して川に落ちそうになった。
26cmの男物の革靴、イヌは中型、と、見た。
修復に半日のロスタイム。
ま、いいかっ。
犯人は現場に現われる、と以前、安浦刑事は言ったが、次の日の朝、
バリケードをはずしていたら、怪しげな人物が来た。
履いている靴と連れているイヌを見て、ホシに違いない、と思った。
「ふーん、工事中なの、入れないの」と話しかけてきた。
「スミマセンね、ご迷惑おかけして・・。でも、絶対に入らないでください」
と、頭をぴょこんと下げると、
「ああ、ぜったいに通ったことなんてないよ」と、言った。
うっそつきっ。ま、いいかっ。
その後は猫の足跡が数箇所ついただけで、順調な養生の時が過ぎ、
木ゴテのすべりも慣れ、散水の要領も良くなり、
作業は、かなりなハイペースで進んだ。
20M毎に砕石部分から仕上がり面までの高さを、
水糸を張り、スタッフを当て、計測し、写真に撮る。
高さ、幅、長さの出来形管理。
終点間近に15袋ほど足りなくなり、追加注文。
空き袋はすべて、最後に写真を撮るので数えて取っておく。
「いつ乾くの?早く自転車で通りてぇなぁ」と、チビッコ。
「これなら石につまづく事もないわ」と、おばあさん。
「歩いてみたかったなぁ」と、東京から来た学生さん。
「今度は街灯も付けたくなるね」
「綺麗になったなぁ」
などなど、道行く人が声を掛けていく。
土色のパフパフ状態の作業着のまま、ニンマリ、嬉しい。
もうすぐ、歩けますからねぇーっ。
↑1パレット毎、下ろす。 | ↑スタボンの山。 |
↑木ゴテで均す。木漏れ日で見にくい。 | ↑いったい、だれが。ショック! |