日々のこと/2002.7


/夏の真ん中で/

6月から雨が多くて、予定通りに作業が進まず、
アセリの連続のまま始まった7月が、早、終わっていく。
夏休みまでに綺麗にしたい現場がほとんどだから、
次々と襲って来る台風には、ほんとにまいったな。
梅雨が明けたら、連日の猛暑だし、体中のワガママが吹き出しちゃうな。

年に一回入る別荘の庭は、芝生が見事に草むらになっていても、
それは毎年見慣れた景色だ。
刈った後の草の上に、クジャクの親子が現われた。
草刈の後は虫が食べやすいらしく、いろんな鳥がやって来るけど、クジャクは初めてだ。
頭におしゃれなカンムリを乗せて、シックな色合いのお母さんと、小さな子供だ。
頭からシッポまで1mくらいのお母さんが頭をヒックンヒックン動かしながら歩く。
後ろからチョンチョンツクツクはぐれないように、子供が歩く。
かわいいっ。
多分、シャボテン公園から脱走したまま、
自由でスリリングな柵のない生活が気に入ったんだろうな。
近くに行って触りたい。
でも、気配に気づくとツンツン離れてしまう。
見失わないように手探りでカバンからデジカメを取り出し、
電池の残量を祈りながら、シャッターを押した。
数秒間こちらを見て何かを言った。
「ごめんね」と答えている間にシャッターチャンスを逃した。
スクープカメラマンにはなれないな。

その後、市街地に近い現場ではコジュケイの一家がやって来た。
このあたりでは「コジッケ」と呼んでいる。
6羽ほどで食事している姿が可愛らしかった。
一羽、じっと動かずにいたのは、見張り役のお父さんかなー。
行ってしまった後をみたら、草が丸くベッドのような形になっていた。
動かなかったのは見張り役ではなくて、寝ようとしてたのかしら。

現場にこうした訪問者が来るのが一番嬉しいのだ。
ヒト以外の生き物との出会いは、
ヒト同士の煩わしさから解放されたような安堵感に浸れる。
電線の上をブンブク茶釜しながら渡るタイワンリスが、
戻ってくる時、パンをくわえていた。
生きるために必要な事だけをしている。

1日が終わり、汗で重くなった作業着のまま、軽トラを走らせる。
この状態で事故るのだけはイヤだ。
前を走る見慣れたオンボロダンプの後を慎重について行く。
ゴミを詰め込んだ上に乗せた梯子が、ダンプの荷台でロープに縛られガタガタと踊る。

今日、現場で出会ったヒトが、言ったっけ。
「あんたも、植木屋に嫁に行かなきゃこんな事しなくてすんだのにね・・」
汗まみれのワタシは辛そうに見えるのかな。
まいったな。