日々のこと/2003.4


始まり

メールでの「相談」「質問」「見積」が増えるにしたがって、
相手の顔が見えないことには慣れてきたものの、
イニシャルや匿名、まるで名乗らないヒトビトとのコミュニケーションは難しい。
口下手で(ン?)恥ずかしがりやで(ン?)鼻っ柱が強いから(オ!)、
そういうヒトビトとの糸はプチプチと切れてしまうこともしばしば。
時に後悔もするが、縁がなかったものと手を振ってサイナラする。

折りしも、
掲示板の書きこみで、フルネームを名乗る方からご依頼いただいた。
伊豆高原に中古の別荘を買い、東京を離れ、当地に永住されるという。
雑草が生い茂り、養分を横取りされた木々が並ぶ庭で、初対面となった。
枯れた枝の間から馬酔木の花が、陽を求めて懸命に背伸びしていた。

お会いしてみると、まさに裏表のない優しく明るいストレートなご夫婦だった。
若さを維持するための要素が全て揃っているようだった。
そして、琴ちゃん、姫ちゃんの2匹のヨーキーが可愛いったらありゃしない。
琴ちゃんの体重はなんと1600g。チワワより小さい、珍しいヨーキーなのだ。
抱っこさせてもらうのが怖くなるほどの¥なのだ。
姫ちゃんは陽気でおてんばで姫ちゃんより少し大きい。それでも2200g。
セナ吉と比べたら昆虫の大きさだ。
どうする?アイフルゥ・・・・

かくして、居心地の良い条件の下、張り切る職人チームであった。

すでに庭としての形は出来上がっているので、
手付かずだった植木の手入れと、駐車スペースの拡張等を中心に作業を進める。
ヤマモモ、ホンヒイラギ、ツバキ、ヒメシャラ、ツゲ、サンゴジュ等、すっかり根付いて立派に育っている。
ドウダン、ツツジ、アセビ、コデマリ、ユキヤナギ等の低木類も配置良く収まっていた。
スッキリと剪定し、高さや幅を調整し、主役と脇役のキャスティングの調整。
隠れていたステ石(景石)が現われ、助演賞候補とする。
道路からの視界はご夫婦の意見が真っ二つなので、中を取って「見えそうで見えない」に決定。

駐車スペースを2台分に広げるのは、すべてお任せ安心パックコースだったので、
親方の提案と弟子の挙手により、プランを決める。
ドウダン、カルミヤ、ナツミカン等を処分し、既存の石を撤去、整地。
ボク石で段差を作り、周囲を四ツ目垣で囲み、木戸を付けた。
ユキヤナギ、コデマリを移植し、ボク石の際にシバザクラを植えて、完成。
木戸にバイク用のチェーンロックを掛けるお茶目なご主人と、
「やめてぇ」と笑顔で首を振る奥様を見て、
新たな二人の花守を得た、庭の始まりを実感した。

前↓ 後↓

年ごとに、四季の移ろいごとに、庭への想いや好み、利便性もココロも変化する中で、
その時どきに「自分の庭」に少しずつ変えていくのが理想的だと思っている。

始まりの扉がひとつ、開いた。

「一生のおつきあいを」と言って下さった田中様ご夫妻に、心より感謝申し上げます。

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