日々のこと/2003.9


新しい道具

腰道具のケースがとうとう壊れた。
何度かタコ糸で縫っていたが、もう限界みたい。
この状態のままハル吉記念館(建設予定未定)に展示することにして、
新しいケースに替えちゃったのである。
ノコとハサミを一緒に入れられるこのケースは、農協の購買部で買う。
ホームセンターには売っていないのだ。
でも、最近のは皮が薄くて縫製も弱々しく、なんつーか、オモミがない。
それでも自分のベルトに通して、いつもの木鋏のケースの手前に下げれば、
もう、自分の一部になる。
少しの間、ハサミの入れ具合が違って、モタついてしまい、
ハサミがヒップラインを空振りする。
そして一週間も使えば、ケースの底に草や葉っぱのゴミが溜まり、
逆さにしてコンコンとたたき出しながら、徐々に馴染んできた感触を味わうのだ。
使い込んで汗の匂いが染み込んだ頃の形が楽しみだ。

今月、もう一つ道具を買った。
「太丸くん」という、太い枝でもスパッと切れるハサミがTVの通販でよく出てくるが、それに似たもの。
長い柄がテコの原理で力を大きくするらしい。
ホームセンターで衝動買いしたのだが、思った以上に活躍したのだ。
伐採した木を細かく切る時、地面に落ちた木を自分の体の向きを変えながら次々と切れる。
いちいち木を持ちナタやノコで切るよりも、ずっと早い。
らくち〜ん。♪
しかし、刃を止めてあるビスがすぐに締まって、刃が硬くなってしまった。
スパナで力を入れて戻すも、すぐにまた締まって使えなくなった。
返品、返品、へんぴん、のブーイングが3方向から湧く。
・・と思ったら、「アンタの使い方も悪いのだ。」と1人が言った。
両腕の力を均等に入れてないから・・らしい。ふう〜ん、そーかー。
そんな事を気にしながらも、何とか使いこなす。
数日後、私の腕の付け根には、以前にも増して硬い筋肉が追加されたのだった。

モノは自分で形を変える力を持ってないから、
使うヒトが少し改造してやったり、使い方をモノに合わせてやると、
モノとヒトがぴったり息の合った動きになることがある。
それは、簡単で少し面倒でとても楽しい。
ヒトとヒトとの関係も、似ている。
変わって欲しいと願う相手が希望通りに変わる事など、あまりないが、
自分がほんの少しだけ変わる事で、大きな変化を感じることがある。
モノもヒトも、出来るなら長く付き合いたいと思ってしまう私は、
変わっていく自分を楽しみながら生きているのかもな。

明日はハサミを研ごう。
小さく富士山の形に変形した砥石で。