海へ続く庭で
伊東から南へ40kmほどの白浜中央海岸。 穏やかな波が岩場に打ち寄せ、青いグラデーションの先に遠く伊豆七島が浮かぶ。 浜を見下ろす国道からの斜面に、まるで秘密の隠れ家のような古い家屋と庭がある。 段々になった庭の先には、浜への入り口がポッカリ開いている。 一歩境界線を踏み出せば、白い砂浜と青い海が広がる。 言葉にできない、贅沢な空間。 |
(↓)施工前 駐車場と敷地内を繋ぐ、 危険な変形S字の階段。 蹴上げが高く、足腰に負担がかかる。 |
(↓)施工後 両側に枕木を置き階段の幅を広げ、隅に段差半分の蹴上げ部分を作る。 交互に一段ずつ上り下りし足腰の負担を軽減した。 手摺は素朴な木材を使い、朽ちたら交換できるように設置。 モルタルは墨をいつもより多めに入れた。 |
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素材はタイルやアルミ製品は避け、 出来る限り景観に溶け込むものを使用。 支柱の埋けこみはパイプで仕切り、取替え可能。 |
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← 浜への入り口に枕木で門柱を立て、階段を造る。 この後、建具やさんが木戸を付ける予定。 |
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→ 石積みの途中には平らな据え方を入れて、 少し遊ぶ。 目地モルタルを入れない部分には草花を。 |
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↑ ←作業中→ |
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古い家屋は、窓枠や壁の板にも趣があり、 波の音を聞きながら、タイムスリップしたような錯覚を覚える。 グラビア撮影によく使われるそうで、作業中にも「プレイボーイ」の撮影隊がやって来た。 篠山紀信も来た事があるそうだが、残念ながら今回は違った。 ドヤドヤ8人ほどの男女の中にベンチコートを羽織った若い女の子がいた。 「うわっ、アレを脱いだら裸かなぁ・・・」とひやひやしたが、可愛いキャミワンピを着ていた。 狭い階段ですれ違ったスタッフの女性が、フワッと避けるように仰け反る格好をした。 あ、そーか、ヤッケがセメントだらけだっ。 撮影が終わると、また、静かな時間に戻った。 海の色や波の音、潮の匂いを満喫しながらの仕事なんて、幸せだ。 昼休みにはゴム足袋に履き替えて浜へ下りた。 近くに遊歩道があり、散歩コースが続いている。 シーズン前の平日のせいか、誰もいない。 潮の引いた岩の間をピチャピチャ歩いていると、 そのまま水平線まで行きたくなった。 ああ、人が作り上げる景観なんて、ちっぽけすぎる。 せめても邪魔だけはしてはいけない。 人が作ったもので、台無しにしてはいけない。 そんな時もあるのだ。 |
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