7月スタート/なんてこった
およよ。知らぬ間に7月になり、今年もあと半分がんばれば終わるのか。
今年はスローペースで走り始めて、その後徐々に加速し、
なんだかんだ、すったもんだ、なんてこった、の、ハードな前半戦だったなぁ。
エンジンが焼けちゃうかと思ったけど、「おかげさま、おかげさま。」と唱えたから、
ニコニコと無事に乗り切れた。
古いお付き合いのお客様が、御両親が住まいにされていた古いおうちを解体して、
庭木を処分し、移植し、整地して貸し駐車場にする計画があった。
木造家屋の解体ならば、素人でも何とかなるかとは思ったが、
処分費がモンダイで、処理業者に持っていく価格が、
「お得意様価格」の解体業者と「一般客」の我々では、ちと、違うらしく、
また不慣れな作業で労災の御厄介になるのも困るし、
ここは専門の解体屋さんに下請けに出す事として、見積、打ち合わせ、と、
順調にコトは進んだ。
最終的な見積を出して間もなく、施主さんが入院されたが、
奥様と息子さんから「是非、すぐ、着工してほしい」という連絡が入り、
早速、植木の処理から作業を開始した。
20年以上もの間、手入れをして、成長を見てきた植木を処分するのは複雑な思いだ。
地続きに別棟の住まいがあり、その間に地下水を使用した池があるので、
伐根の際、生きている水道管を探すのに一苦労だった。
トミと二人でスコップで慎重にガッツンガッツンと掘り進めて、場所を確認する。
管の位置を親方に「ここ。」と、アゴとアシで報告する。
しかし、チェーンソーで切った木が「ここ。」に倒れた。
しかも、腐りかけてもろくなったツナギ目のところ。
猿(親方)も木から落ちる(水道管を割る)。
「にじゅうよじかんはやくいく♪」と歌う雰囲気ではなく、近くの水道屋さんに来てもらう。
処分予定でも心が痛む木は、当社秘密基地に引越しをした。
基地がもう少し広ければ、もっと運びたいところだが、
ソテツ、ウメ、ユズ、フジなどを、厳選。こっそり万両も掘りあげた。
あれよあれよと植木がなくなった敷地内は、呼吸をしない止まった空間に見えた。
植木の処理が一段落した後、解体業者クンがバリバリと作業を開始。
その間、邪魔なので、われわれ植木屋クンは別の現場へ移動。
ツツジ類の刈り込みやら、芝の手入れやら、たまった仕事をこなす。
あー、いそがし。いそがし。
草取りの最中、ちっちゃな黄色い豆のような実が落ちていてかわいいのだ。
正体は「ユズ」の生理落果したもの。
「ジューンドロップ」なんてカッコイイ言い方もあるのだ。
ハサミでちょこっと切ってみると、いっちょまえにユズの香りがする。
さて、解体が終わった現場。
家も庭もなくなり、ガランとした100坪ほどの台形の「土地」ができた。
整地し、砕石を敷き、転圧し、区画を決めてロープを張る。
(1台分が2,5×5m。浸入路として前面に5mの幅をとり、10台分確保。)
御主人が退院された時のために、
住まいとの間の通路を補修し、手すりをつけ、池まわりの植木を剪定し、漸く完成。
「前」と「後」でかなりの違い。
近所のギャラリーのみなさまも、毎日ご苦労様でした。
さて、そろそろ請求書でも提出させていただこうかな、と、
朝の現場出動前に机に向って書き始めた。
一行めを書いた時、電話が鳴る。
「父が危篤で、あと1〜2時間と・・・」と、息子さんからだった。
なんてこった。
入院中も工事の様子を気にかけていらした様子なのに、
完成後を見る事もなく、本当にお気の毒なことだ。
白い大きなバラが好きな方だった。
「御主人さま、ロマンチストですよねぇ。」と言うと、
「ううん、ただ、気が小さいだけよ。」と、笑った奥様の顔を思い出した。
7月梅雨明け/お茶の授業
伊東市立旭小学校の茶畑で恒例の「授業」をした。
先月は、3年生を相手にミカンの剪定についての「授業」だった。
今回は4年生にお茶の刈り込みを体験させて、肥料の事などを話す。
親方も私も少し慣れてきたせいか、舌もなめらかに動き、
「夫婦漫才」のような合いの手まで入ってしまった。
刈り込み機(バリカン)を出すと、「おおーっ、こわいー」と声が上がる。
女の子たちは殆ど全員、「いやーん」のポーズで肩から上を斜めに構える。
ヒゲ面のでかい親方が刈り込み機を抱えると、ふむ、なるほど、こわいかも。
(心いたむ恐ろしい事件があったばかりだしなぁ)
子供たちに刈り込み鋏で一人ずつ体させて、
機械だとこんなに早いよ、とバリバリやってみせる。
生産農家のようなビシーッときれいな畑ではないけど、
今年、生徒が摘んだ新茶はホットプレートで手もみされて賞味したらしい。
校長先生が「モミが足りない」と言ったそうだ。
「私も今年は作ったんだよ」と言うと、話がはずんだ。
「蒸し」の時間がモンダイで30秒じゃ短いし、3分だと長い。
やけどをした、とか、香りが良かった、とか、意気投合してしまった。
私の腰にぶらさがっている道具に目を付けて、木鋏を使いたいと言う子がいて、
「いいよ」と手渡すと、「私も」「オレも」とすごい事になった。
一人の男の子が、実生で生えてきたばかりのちいちゃな「お茶のこども」を見つけた。
根っこと茎の間にカラカラの実がぱっくり口を開けてくっついていた。
「まだヘソの緒がくっついてるからほんとに赤ちゃんだ」と親方。
2才ほどに成長したのをグイッと引き抜いた男の子もいた。
「こことここを切って、植えて育ててごらん」
緑色の実を摘んで「これを植えても木にならない?」と聞く子もいた。
45分ほどの授業が終わり、「ありがとうございました」と、子供たちが教室へ去り、
段段畑に腰掛けてほっと、一服。
「ふーっ」とため息の職人が3人。
短い時間だけど、けがもせず、良かったぁ。
「刃物」を扱うからとても緊張していたのだ。
して、我に帰るのも3人同時に、上の段からバリバリ、チャキチャキと刈り、
クマデでかき集め、いつもの慣れた時間を過ごしたのでした。