4月X日 /モグラ/
伊豆高原にある別荘N邸の芝生の手入れ。
毎年のことながら、芝の中の雑草とりを、草取り班長のバアバと始めた。
去年の秋にまいた薬が効いていて、例年より草の数は少なく、楽チンだった。
(あ゛ーー、「薬」の草カンムリを取ると、「楽」になるぅーー、と、今気が付いてびっくりした。
金八先生はとっくに知ってるだろう。)
なだらかな傾斜のかなり広い芝生がひろがり、
傾斜が終わるところにソメイヨシノが、でん、と構えている。
満開を過ぎて、ちらちらと、花びらが舞う。薄グリーンの葉と薄ピンクの花びらが
良い感じ。満開の派手な美しさより、ずっとキレイ。
ここは、私の憧れの芝生に、今のところ一番近い。
だからというわけだが、可愛がるように丁寧に、作業する。
悪友のミーちゃん(ミミズさん)も土壌の管理をがんばってくれている。
それなのに、なんと、モグラが住み始めた形跡があったのだ!
芝生が波のように畝って、盛り上がって、模様を
作っている。
盛り上がりの端に指を入れてみると、すーっと入っていって、
子供の頃砂で作ったトンネルみたい。
周りの芝生を歩くと、ぶかぶかしてマットレスのようだ。
モグラの仕業に、間違いない。
すでに、相当の数のミーちゃんが餌食になっただろう。
ナンマイダ、ナンマイダ。
モグラは昼間何してるんだろう。
サングラスかけてぴょこんと地面から顔を出すシーンしか、思い浮かばない。
(自分の中の知識と想像力に、がくっ。)
今日はとりあえず、トンネルの周りを足でどんどんと踏み付けて、
モグラを脅かすことだけして、夕方まで予定り草取りを進ませた。
4月○日/モグラ2/
N邸のモグラ被害は2回目だ。数年前にも、芝を持ち上げてひっくり返し、
山をいくつも作ってくれましたね。
幸いにも新しい芝を追加せずに、うまく元の状態に修復できたものの、
ミーちゃん達の姿は全く見られなくなった。
モグラ撃退機(ぶー、ぶーと定期的に振動音を出す。)
を地面に何個所か埋めたけど、そんなのなくたって、
食料がなくなったモグラはさっさと移動する。
今回はなんとしても、ミーちゃん達を守らなくてはならない。
やっとこの頃、増えてきたんだから。
ホームセンターで、「モグラ逃げる」と言う薬を買って来た。わかりやすいネーミング。
ラムネのお菓子のような大き目の錠剤で、強烈な匂い。
ミミズには影響ないって書いてあったのでひとまず安心。
(ミーちゃんには臭覚がないのかな。)この錠剤を地面に埋め込む。
地面を何回か踏みつけてから、
たぶんこっちから進入してくるんだろうと、思われる方へ等間隔に埋めていった。
そして、撃退機を中心に2個所埋め込んだ。
これで逃げてくれればいいのだが。
草取りの方は無事終了。
きれいになると気持ちいいなぁ。
ところで、ホームセンターには、「モグラ捕獲機」もあった。
太い注射器のような道具で、地面に埋めて、生け捕りするらしい。
隣はネズミのコーナーで、ネズミ採りのかごと並んで、
ネズミホイホイみたいのがあった。強い粘着力で捕まえるのか。
足が張り付いてチューチュー泣いてるネズミなんか見たくないなぁ。
それから、超大型のネズミ取りみたいなオリも売っていた。何を生
け捕りするんだろ。ぞっ。どれも生け捕りグッズは買う気にはならなかった。
4月△日/バアバの意地/
天気予報では「午前中は降りません。」って言ってたのに、現場へ着いたとたんに雨。
しばらくの間やむことを祈って、草取りをしていたけど、さらにさらに降ってきたから中止。
バアバと二人、びしょぬれの美女。
「家の方も降ってるといいねぇ」
「なぜに?」
「くやしいじゃないか。こっちだけ降ってるなんてさ。」
「空に意地を張ったってしょうがないでしょ」
人間に対しては意地を張らないバアバですが、変なところで力が入ります。
30分かけて家に帰る。降っていた。
「あぁ、よかった。気が済んだ。」濡れたシャツを脱ぎながらバアバが笑う。
親方たちも、しばらくして泥んこで帰ってきた。(今、石積の仕事です。)
さぁ、洗濯が大変だ。
4月☆日/しあわせにお仕事、キジ/
キジはきれい。鳥のキジ。高く大きな声で「ケーン」と、鳴く。
剥製でよく玄関とかに飾ってあるけど、
なにも殺してまでその美しさを楽しまなくたっていいのに。
キジなべ食べた後、眺めるのかなぁ。ナムナム。
このあたりに棲家があるのか、ここへ来るといつも出会う。
独身らしい。
10mほど近づいても逃げる様子もない。
地面の上できょろきょろして、道路の方へ行ってしまった。
自動車にひかれないか心配。
でも、仕事が今日中に終わるか、もっと心配。
だから、キジの観察は切り上げて、カマを持った。
こんな動物に出会えるなんて良い所だなぁ、
こんな所で仕事ができて幸せだなぁと、
心の中でつぶやいて仕事をしたのでした。感謝。
5月X日/畑/
ばあばと畑へ。竹の子掘り。
ニョキニョキ伸びたのは、根元にクワをかっと入れてから、足でえいやと蹴る。
これが、かなりストレス発散になって、しばし、ばあばも私も夢中になる。
倒した竹の子は硬くておいしくないから、そのまま置いとく。
むくっと地面から出てきたばかりのかわいいのを探して、
周りを丁寧に掘り、根っこが見えた所でとどめの一発を入れて、掘り上げる。
二人とも汗びっしょりになってしまった。
収穫ブツを並べて満足した後、ワラビやフキを摘む。
以前はおいもや菜っ葉類を作ったり、ミカンの木もたくさんあって、立派な畑だった。
南に面した段々畑で、風当たりも少なく、良い畑なのに
今では甘夏ミカンを採るぐらいで他には何もしていない。もったいないなぁ。
5月?日/草刈シーズン到来/
あらら、先週見た時と、全然違う景色。
どこも、あっという間に雑草が伸びて、庭の形が変わってしまう。
別荘のお庭も、今の時期に一度でいいから、刈っておくと、いいのだが、
大抵は、「夏にお願いします。」と、言われる。
そりゃそうだ。無料という訳にはいかないからなぁ。
今日は、売り物の土地、正しくは、売り地、の草刈2日目。
お客様を案内するので、見た目を良くして欲しい、とのこと。
まかしときぃ。得意分野だ。
しっかし、広かった。運動会だってできちゃう。
そして、暑かった。親方と草刈り機初心者のTOMIが機械で刈り、私が寄せ集めて積む。
刈った草は<現場内処理>で運び出さなくて良いとのことで、
頂く料金は安いが、体は助かった。
この、(「安い」が、「助かる」)は、正しい法則で、
(「安い」が、「つらい」)の法則は、社会に反している。(かな?)
ともかく、カヤなどは巨大化してて、わたしの背より高かった。
積んだ草の上に座って、一服。
「アルプスの少女ハイジみたい?」
「ばっかじゃねぇの。そんな汚い草じゃねえよ。
山のばばハルジってとこかね。」と、TOMI。
少し、早く終わったので、地元のスーパーへ急ぎ、地物のアジを買ってきた。
小さな出刃で刺
し身に作る。ぴんぴんのアジと、ビールで幸せなハルジ。
5月X日/取締役会議/
雨。急きょ、会議を始める。
出席者2名。所要時間10分。
「ホームページに実名を入れようか。」
「そうだね。」
「恥ずかしいかなぁ。」
「照れてる場合じゃないっしょ。」
「そうね。」
それから、お茶をずずーっとすすり、(新茶)
決をとったら、全員一致で、
社名と代表者名と住所と電話番号を入れる事に決定した。
照れ屋のハルさんはちょっと照れながら、
更新作業を開始したとさ。
5月?日/ホウノキ/
小さな葉とチカチカ咲く花の方が好き。
木はどかーんと大きくても、ついてる葉や花が、小さいと、
もう、それだけでかわいくなってしまう。
でも、今日、お昼のお弁当のあと、散歩していたら、
どでかい葉っぱと、どでかい花が、これまたどでかい木についていて、
あまーい香りがほのかにして、ちょいと幸せな気分になった。
根元に落ちた枯れ葉は大きなおせんべいみたい。
手の届く枝で、まだつぼみのを選んで、ポキと折り、親方に見せた。
「ホウノキ」と、ひとこと。
その一言の中に、
「なんだよ、おまえ、それでも植木屋かよ。情けねぇなぁ。
木の名前ぐらい覚えろよ。」との意味が込められていた。
固有名詞を覚えるのが大の苦手。
だから、自分の頭に、印象と感動を一緒にインプットしなくちゃならない。
折った枝を持ち帰り、バケツの水に挿し、咲くのを待った。
これが咲いた様子。
風車みたいな葉と花です。
きちんと正しく並んでいます。
図鑑で見たら、「モクレン科」だそうです。
別名、ホウガシワ。落葉高木。
花は食虫植物みたいで、生き物的。
実がなったところも写真にとりたいなぁ。
5月?日/汗のこと/
暑かったですぅ。つまりは、ビールがウマイってことですが。
急に暑いと体調を崩すから気をつけなくちゃ。
ま、もともと、我が家は皆、丈夫な体質だから、
ちょっとやそっとじゃ、壊れないと思うけどね。
植木屋さんは、イザとなれば、木陰があるからいいですが、
いつも、思うのは、屋根やさんのこと。
たいへんだろうなぁ。
それから、道路工事の方達。これまた、たいへんでしょう。
今日は、これから迎える夏を思わせるような、暑い日だったから、
夏対策みたいなものを改めて、考えてしまった。
暑いと汗がでて、
汗と一緒に体中の塩分とか、カルシウムとかの、ミネラル分が、
出ていってしまいますから、弱るのは当然。
去年の猛暑で、腎臓を悪くした植木屋さんがいるそうです。
実際、私も、尿量は極端に少なくなり、不安でした。
どこかで聞いた話で、スポーツドリンクの類は、
体に吸収されなかったミネラル分が、尿道結石とかを引き起こすとか。
じゃあ、何を飲んだらいいのでしょう。
フツーの水かなぁ。ビールかなぁ。ゴックン。
誰か、知ってたら、おしえて。
5月X日/メジロ/
今、空を飛んでいる鳥は、全て、保護されている。
スズメも、カラスも、同じ身分。
今日、現場で耳を澄ませると、いや、澄ませなくたって、
色んな鳥の声が聞こえてきた。
ホーホケキョ、キーキー、チッチッチ、ピュールピュ、チーッ。
「今のは、メジロだ。」と、親方がおっしゃる。
視力だけでなく、聴力も確か。
昔は、捕まえて、飼ったそうだ。
大会みたいなのがあって、泣き声を競ったりしたらしい。
チー、と鳴くのはダメで、大きな声で、キー、と鳴くのが良いらしい。
上位のメジロは高値が付いたとか。
今は、捕まえるとお叱りを受けるだろうが、
こっそり、山の中で、捕まえている人もいるらしい。
何やら、怪しげな箱を持って山の中へ入る人を見かけたら、通報を・・・。
大きなクワガタに、すごい金額を出して、買ってしまう人あり、
ぼろぼろのジーンズに何十万も出したり、
何百万の錦鯉がいたり、
メジロの鳴き声にこだわってみたり、
物の価値って人それぞれだなぁ。